居酒屋政談のための簡潔な「安倍総裁による日銀批判」批判アンチョコ

n%のインフレターゲット

「物価目標?未達の目標引き上げたら、営業成績上がるの?」


目標に達しないのは真面目にやってないからだという、駄目な支店長の典型みたいな小理屈は、未来に向かってロクな「改革」を生んだ試しがない。この手の「わかりやすい」号令を出す指揮官は、いつだって外から来たビビりの大将で、現場を知らないがゆえにチクリ屋の課長代理にコロリと乗せられ、つい吠えてしまう。結果的には皆の総スカンを喰らうことになるわけで、もちろん成績は出ない。真面目に解説すると、もちろん経済活動は活発に越したことはないわけだが、手段として物価目標を掲げ、そのために妙なアクションを強いることを疑問視する専門家は少なくない。

お金の量が足りない

「カネってのは潤滑油だろ?そんなもん増えたからって、この酒がうまくなったり、その刺身の生産が増えたりするの?」


この点は、一般に非常に誤解が多い割にはシンプルな話なので、居酒屋では面白いかもしれない。いま店で飲んでいる連中を含めた、日本で暮らし働く全員の財布の中味が、一斉に全部2倍になったと想像してみよう。特に酒はうまくならないし、もちろん刺身の生産も増えない。我々の暮らしは変わらない。値段は2倍になるかもしれないが、懐だって2倍だ。カネは媒介に過ぎないという基本は、どんなに頑張っても曲がりようがないので、何かトリッキーな方向に話が進んでしまったら、ここに帰ってくると地に足が着く。

建設国債の直接引き受け

「ダムつくるから日銀がカネ出せってか?それで済むなら税金要らないだろ」


日銀は「お金をつくる」ことができるという素朴な信仰が、こうした財源にしようぜ理論の背景にあるわけだが、実際のところ「お金をつくる」ことは不可能な仕組みだ。大切な点だが、「つくり過ぎるとインフレになる」わけではない。そもそもまったくつくらない。連中がつくるのは「貸し」と「借り」だけだ。すこしだけ解説が面倒なところでもあるのだが、結局のところ媒介に過ぎないカネを、「政治主導」で無理矢理つくり出してきた人類の愚かな歴史から先進社会は学び、モダンな「貸し借りだけの」中央銀行が発明されたわけだ。もちろん21世紀にも、アフリカの南の方に同じことを繰り返した国があるが、例によって「貸し借りだけの」米ドルが媒介として使われる結果になった。

円安になり株価は上がった

「遊ばれてんだろ?」


居酒屋だって周囲を探せば、そうして遊んだ連中が数人は見つかるくらい、最近は携帯電話を通じても、為替や株式の市場に気軽にアクセスできる。そうして遊ばれることが、我が国の経済に素敵な状況をもたらすのかと問えば、その回答には悲観的にならざるを得ない。理由は簡単で、そんな遊びが続くとは思えないし、真面目な商売の邪魔だからだ。有力な次期首相候補が、あっちで餅を撒き暇人が駆け寄る、こっちで餅を撒き暇人が駆け寄る、そんなことを繰り返せば、当初の熱狂とはウラハラに、結局のところ町は活気を失ってしまう。餅代だって、廻り回って、商店街が出しているのだ。