外国資産の為替ヘッジ比率は、どの程度が素敵か

検索してid:equilibrista:20090628を訪れる方がいらっしゃるようなので、ちょっと詳しく書いてみたい。例えば円の投資家から見た米国株式への投資に期待されるリターンは、米ドルのリスクを全て許容する場合と、全てヘッジする場合と、それぞれこんな感じだ。


[為替ヘッジした]米国株投資 = 日本円の金利 + 米国株式のリスクプレミアム
[為替ヘッジなし]米国株投資 = 米ドルの金利 + 米国株式のリスクプレミアム + 米ドル/円の為替


両者の差分は言うまでもなく、為替と金利差とで構成される。で、その期待値はゼロであるはずだと思うのが、金利差の分は為替が変化して相殺されちゃうと思うのが、いわゆる金利平価の考え方だし、なわけねーだろと、為替のリスクなんてなんぼのもんじゃいと思うのが、キャリー取引というチャレンジである。


いずれにせよ、為替にかかるリスク認識と、期待値についての見解によって、投資行動は決まる。一般的には、為替のリスクは非常に大きい割に、成長を後押しする力としてのリスクプレミアムは存在しない(単に交換してるだけ)と考えられるので、悩んだらヘッジしとけというのが説得力のある助言だ。


とはいえ蛇足ながら、為替をヘッジせずオープンにすることは、両者にフリーランチをもたらすという不思議な話もある。id:equilibrista:20090617で書いた、「シーゲルのパラドックス」がそれだ。眉に唾をつけつつ、楽しく考えたい。実は僕は、すこしこれを信じている。