安易なタダ乗りを甘やかすから金融危機

ノウハウ本読み株価つり上げ…儲からず 会社員に課徴金
http://www.asahi.com/national/update/0701/TKY200906300364.html

実際には株を売却するタイミングを逃し、ほとんど利益を得ていなかったという。


シビれる話だ。実際のところ、取引量の多くない株式の価格を動かすことは簡単だが、そこから利益を得ることは難しい。自分の売り注文に自分で買いを入れて、最初の買いよりも高い価格で売り抜けたからといって、もちろん買ったのも自分なので、ちっとも儲からない。ハタで見ている誰かが、その高い値段を妥当だと考え、「自分も」と買いを入れたときだけ、すこしだけ利益を出すことができるのみだ。


そう考えると、そもそも相場操縦なんてのは、大した罪でないばかりか、禁止する必要すらないのではないか。むしろ、積極的に放置してもよいかもしれない。


誰かが相場を操縦している可能性があるとき、市場参加者はその価格が妥当なのか、いまよりもずっと真剣に考える必要がある。「なんかバブッてんな」「でも勢いあるから乗っとこうかな」的な安易な、マグロの回遊みたいな行動はそのとき、いまよりもずっとリスキーな選択肢になるだろう。


馬鹿みたいに当たり前の話だが、常に皆が警戒しているとき、そうでない場合と比べて、潜在的な危険への対処は速いはずだ。「ボケッとしてても、守ってもらえるから大丈夫」な状況が、バブルや危機を助長させている可能性は多いにある。