リスクの形

出張先で食べているラーメンの値段が、刻一刻と変わるような状況は勘弁してくれと、思う方もいるかもしれない。引退後は郷里に帰ってのんびり暮らしたいのに、そのための準備が為替レートに影響されるような状況は勘弁してくれと、思う方もいるかもしれない。道州独自通貨の導入は、おっしゃるとおりで、我々の身近なあらゆるところに、価格が変動するリスクを持ち込む。そしてそれは一般には、煩わしいことだ。


ただ、考えてみてほしい。ここ最近は誰もが感じていることだと思うのだが、我々の生活、生産や消費は、そもそもリスクがあって不確実なものだ。毎日は試行錯誤の繰り返しだ。賃金はいつも同じで、消費する物の値段も常に同じで、安定した生活を送れていると思っていても、そんなものは見せかけのハリボテに過ぎない。その裏側では、派遣労働者や失業者に皺寄せをしていたり、税金の名目で高い保険料を払っていたりするだけのことだ。


リスクとは、ひとが何かをつくり出すことそのものである。きっかけが道州独自通貨であれ何であれ、このことに正面から向き合い、見つめ考えることは、必ずや我々に繁栄をもたらすと、僕は信じている。