通貨の信用リスクが下がってインフレおやじ

物価の上昇を引き起こす要因は、常に2つ混在していて、景気がよくてモノが売れて、おい値上げしちゃうぞーってのと、ジンバブエみたいに、やばいよやばいよ通貨やばいよってのとあるわけ。ジンバブエドルは、ついに使われなくなったそうだが、そういうことが予期されて、つまり通貨の信用リスクが下がってインフレーションを引き起こす後者のメカニズムは、こんな感じだ。


もう駄目、その通貨受け付けないよって、来月仕入先や融資元に言われちゃう可能性があるとき、お客さんからは、同じ仕事でも先月より、その分多く貰っとかなきゃ割に合わない。もう駄目、その通貨受け付けないよって、来月買い物先で言われちゃう可能性があるとき、腐らないものなら、その分高くても買っとこうという気になる。


こういうのが連鎖して、どんどん物価が上昇していく。リスクは複利で効いて、物価は指数関数的に伸びていく。そのことがさらに、不安を呼び覚ます。


通貨の信用リスクを評価しようとするときに考えることは、トヨタ社債にかかる信用リスクを評価するときに考えることと何ら変わらない。要するに、変なことをやっていれば信用ならないし、一見無茶に見えても、結果を出し続けていれば信用されたりもする。発行する証券の量では決まらない。ぶち壊すのは簡単だが、発行体の意思でコントロールすることはとても難しい。そこのところは、日常生活の意味での「信用」ともまったく同じだ。


日銀が「ある程度無責任」になったり「宣言」したりして、マイルドなインフレーションを起こせ*1などと言うのは、その意味で、「ちょいワルおやじ」と同じである。ちっとも悪そうには聞こえなかったし、恥ずかしいからやめてほしい。もちろん悪いこともしないでほしい。