無利子国債の馬鹿さ加減

無利子国債政府紙幣の検討表明=首相「いいことだ」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090311-00000121-jij-pol


政府紙幣及び無利子国債の発行を検討する議員連盟」による「緊急提言」がされたそうで。ひょんなことから内容の一部を見せてもらったのだが、まるであの「先行者」のように、ここまで突っ込みどころ満載だと、逆にどこから突っ込むべきか迷ってしまうような内容だ。正直シビれた。逆の意味で。


こいつは3つの提言から構成されており、1つ目は「政府紙幣の発行・金融政策の強化」、2つ目は「無利子国債の発行」、3つ目は「贈与税減免による世代間の資産移転促進」となっている。今日はその2つ目に着目したい。相続税を減免する無利子国債については、以前も茶化し気味に書いた*1が、今日はもうすこしだけ真面目だ。

  1. 1500兆円を超える我が国の家計金融資産を有効活用し、今後の景気対策の財源とするため、相続税免除特典付きの無利子国債を発行すべきである。無利子国債10年又は20年の年限とし、中途換金も認めるべきである。
  2. その際、相続税の課税割合が4.2%であり、租税負担の公平性に十分配慮する必要があることから、無利子国債によって調達された財源は、雇用・失業対策、零細・個人事業主対策などに重点的に活用すべきである。
  3. なお、相続財産の6割以上が土地・有価証券である実態を踏まえ、無利子国債への乗り換えに伴う市場への影響には十分留意する必要がある。また、無利子国債が租税回避行為に悪用されないよう、譲渡制限を設けるべきである。


強調は原文。さて第一にというか、これがすべてなのだが、目的がわからない。全然皆目わからない。もう何をしたいのか、さっぱりわからないのだ。


OK、三点目に懸念されているとおり、相続財産の6割を占めるところの土地や株を売られてしまっては、景気対策としては本末転倒だろう。しかしちょっと待て、じゃ銀行預金を取り崩す分にはいいって言うの?


そんなわけないじゃない。銀行預金が収縮すれば、当然民間融資の原資は減るわけだし、保有してる国債だって売られるよ。「1500兆円を超える我が国の家計金融資産」のほとんどは、既に何らかの形でリスクを負担してるんだよ?それを売っぱらわせて、この謎の国債を通じてぶん捕ってバラ撒きだなんて、冗談じゃない。ホンモノの投資を収縮させて、国の借金増やして、それが景気対策なの?馬鹿なの?


というわけで、国にとって利息を払わなくて済む分は、相続税の収入減によって相殺されるとか、そういう細かい議論以前に、こいつは論外だと強調しておきたい。何度でも言おう。馬鹿だ。無理しこ臭いは馬鹿過ぎる。バーカ。