インフレーションまとめ

現代のシステムでは、貨幣とは中央銀行の発行する債券である。

インフレーションは、本来の意味でのそれ、つまり需要と供給による物価の変動と、中央銀行の信用リスクの、2つのコンポーネントから成る。

前者は本質的に制御不能であり、またハイパーインフレーションは主に後者によって起こる。

社債発行額や負債総額とCDSスプレッドが線形の関係にないように、貨幣の発行額と信用リスク増大によるインフレーションは線形の関係にない。

後者を制御することによって「マイルドなインフレーション」を実現することは、極めて難しい。発行体が、自らの信用リスクを制御することは難しいからだ。

実現している「マイルドなインフレーション」は、一般に、需要が供給を上回っていることによる「結果」である。

一時的な財政支出による需要をもって、インフレーションを実現させようとするのは、政府が株価を買い支えようとするのと同じくらい難しい。

どちらも、単に納税者から投機家に所得を移転する結果にならざるを得ない。