政府紙幣まとめ

1) 「打ち出の小槌」の財源ではない
日銀の白川総裁が指摘した通り、発行された政府紙幣の残高は、本来政府の負債として計上されるべきものであって、その意味で、国債の発行と何ら変わりない。当然のことながら財政悪化の要因となり、その償還には将来の増税が必要となる。


2) 「マイルドなインフレ」を招くことができるか疑わしい
市中で必要とされている以上の紙幣を流通させることはできない。政府紙幣を市中にヘリコプターでバラ撒いたとしても、数日もすれば銀行経由で返却されてしまうだろうし、さもなくば同額の日銀券が回収されるだろう。
物価や賃金の上昇に従って紙幣の増加が必要になるのであって、紙幣を増加させたからといって物価や賃金は上昇しない。90年代の量的緩和は、その意味で結果を出すことはできず、別の場所にバブルを生み出した。


3) 長期的には株安、債券安、円安の要因となる
目的や効果が明確でないまま政府支出を増やすことは、日本国に対する信用の低下と、国内ビジネス環境の悪化を暗示する。結果として株安、債券安、円安の要因となる。輸出ビジネスに対する円安の好影響のみを取り上げるのは、バランスを欠いている。